仙腸関節は仙骨と腸骨で形成される関節で、接触面は線維軟骨覆われています。

通常仙腸関節の可動域は2〜3ミリ程度とされており、あまり動きませんが、動かないと痛みの原因になります。
このような仙腸関節障害はどのような病態・症状が現れるのでしょうか?

病態

マルアライメントが原因で生じる症状・病態を結果因子と呼び、組織損傷・疼痛・運動機能障害、防御反応が含まれます。
組織損傷には、組織断裂や微細断裂、瘢痕化、阻血性壊死などが含まれ、マルアライメントにより力学的ストレスが仙腸関節をまたぐ筋・腱・靭帯の炎症、関節軟骨損傷・変性を起こします。

疼痛としては上後長骨棘、長後仙腸靭帯、仙結節靭帯、多裂筋に起こり、圧痛点としては上後長骨棘、長後仙腸靭帯、仙結節靭帯、腸骨筋に見られます。

運動機能障害には可動域制限、筋力低下、動作障害などが含まれますが、大臀筋や多裂筋の機能障害や立位での運動機能の低下が引き起こされます。
仙腸関節の防御反応としては、関節の離開に対して多裂筋や梨状筋のスパズムが起こるため、強い運動時痛が発生します。
ぎっくり腰の一部はこれらの筋のスパズムを伴っている可能性が高いです。

機能不全による病態

仙腸関節機能不全の原因はハムストリングスの張力による急性外傷、臀部からの転倒、ねじれの力が仙腸関節に加わるスポーツ(ゴルフやボーリングなど)での動作とされています。
機能不全による病態として骨盤不安定症と鼠蹊部痛症候群の2つがあります。
骨盤不安定症は仙腸関節や恥骨結合に異常可動性が生じ不安定になる病態で、①腰仙部や恥骨部に疼痛があり、②仙腸関節や恥骨結合に圧痛が見られ、③ブロック注射により症状が改善され、④骨盤疼痛誘発テストが陽性、⑤片足起立時のX線像で恥骨結合部に異常可動性が見られる、ことのうち4つ当てはまると骨盤不安定症とされます。

鼠蹊部痛症候群は鼠径管の病変、恥骨結合の病変、内転筋機能不全の3つの病変が原因となって発症します。
症状がある側の股関節内外旋可動域の減少や股関節内転筋の筋力低下が見られます。

仙腸関節は動き自体は小さいですが、動かないと体に大きな影響を与えるので評価が大切です。

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