雷鳴頭痛とは今まで経験したことのないような、突然の短時間でピークに達する頭痛のことで血管性疾患とも考えられています。
例えば、急性くも膜下出血(SAH)の約半数は雷鳴頭痛で発症します。
この場合の第一選択は頭部単純CTでありますが、出血が軽微な場合は見逃されることも多く、症状から強く疑うならば腰椎穿刺、その他CTで高吸収を示すSAHや脳静脈血栓症との鑑別が必要となります。
また、その症状としては脱水や多血症によるヘマトクリット値上昇、低酸素虚血性脳症、脳脊髄液漏出症による脳脊髄液腔の狭小化および静脈系の代償性拡張、両側硬膜下血腫による頭蓋内緊満、化膿性脊髄炎など多岐にわたります。
また最近では若年女性の雷鳴頭痛の原因として可逆性脳血管攣縮症候群も注目されています。

可逆性脳血管攣縮症候群(Reversible cerebral vasocontrictionsyndrome:RCVS)

可逆性脳血管攣縮症候群は20-50歳代の女性に多く、増悪・寛解を繰り返す雷鳴頭痛を主訴とし、しばしば嘔気・嘔吐(70%)、視力障害を伴うような症状を呈します。
頭痛の平均持続時間は30分、90%は両側性に出ると報告されています。
頻度の高い誘因はSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)などのセロトニン作動薬、妊婦、産褥期、片頭痛の既往などが挙げられます。

初診時のCT、MRI、DSAで55%は異常なく、81%はその後脳梗塞(39-89%)、円蓋部の(SAH12-34%)、頭蓋内出血(5-20%)などの病変を認めることが報告されています。
画像所見の感度は発症から5-8日後に上昇するため、初期の画像で異常がなくても数日後の再検査が推奨されています。
またその所見は多発性分節様の血管攣縮が特徴とされています。
PRES(可逆性後頭葉白質脳症)でも局所・多発性血管攣縮像を呈しますが、多くは動脈遠位になり、可逆性脳血管攣縮症候群はWillis動脈輪から近位が多いため、脳梗塞の頻度がPRESより高くなるとされています。

 

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