股関節は、寛骨臼と大腿骨からなる臼状関節です。

寛骨臼は深く、大腿骨頭の被覆率が高いため、球関節の肩関節と比較して、安定性が高く、

運動性が低くなっています。

これは荷重を受け止めるという機能を発揮するためと考えられます。

股関節に生じやすい機能障害

股関節は、荷重関節として上半身を支える必要があります。

股関節周囲筋の筋力低下や関節可動域制限は、股関節への力学的ストレスを増強させ、

疼痛を惹起します。

また、股関節は、骨盤を介して腰椎への力学的ストレスを増強させるため、腰痛を惹起することも多いです。

 

股関節の安定化機構

股関節を安定させるために、静的安定化機構と動的安定化機構の2つが存在します。

静的安定化機構

・骨形態:関節窩の深さには個体差があり、臼蓋形成不全が存在することも多いです。

・関節唇:関節窩の深さを補うように存在する線維軟骨組織です。関節唇は、前上方を損傷することが多いです。

・関節包・靭帯:3つの関節包靭帯が安定性に寄与します。最も強靭な靭帯は腸骨大腿靭帯で、恥骨から股関節全面を覆う恥骨大腿靭帯、後面から上方を回り込む坐骨大腿靭帯が存在します。

 

動的安定化機構

・深層外旋六筋:大腿方形筋、梨状筋、内・外閉鎖筋、上・下双子筋の6筋は股関節に近い位置に存在し、関節窩に大腿骨頭を引き付ける肢位(求心位)をとります。

・小臀筋:股関節の上面を通過し、大転子の前方に向かう外転筋で、外転の他に屈曲・内旋作用があり大腿骨頭を求心位とします。

・腸腰筋:腸骨筋と大腰筋を合わせて腸腰筋と呼びます。腸腰筋は大腿骨頭の前面を通過し、股関節屈曲時に大腿骨頭を後方に押し付ける作用があると考えられています。

 

股関節の運動

股関節の運動は、股関節独自の運動と骨盤の運動が複合して生じています。

骨盤大腿リズム:大腿骨が骨盤に対して屈曲すると、骨盤は後傾します。大腿骨は、頸部に前捻角と頸体角が存在するため、股関節屈曲運動では大腿骨頭の内旋が、伸展運動では大腿骨頭の外旋が生じます。

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