入院患者のような体が活動していない状態が長時間継続すると体に廃用が生じ機能的・構造的な変化が生じます。
これを廃用性筋萎縮と言います。
人の体では、エネルギーを消費して組織を構成するアナボリックと組織を破壊してエネルギーを生み出すカタボリックという作用があります。
身体活動量が低下すると、カタボリックの割合が増え筋肉が分解されるため、筋萎縮が進行しやすい状態にあるといえます。
筋萎縮が生じると起居動作・移動動作およびADLが困難となり筋萎縮の改善には数ヶ月かかるとされています。
どのような筋から筋萎縮が進んでいくのでしょうか。
どのような筋繊維タイプから萎縮するのか
筋線維は大きく分けて遅筋と速筋に分けられます。
遅筋線維はtypeⅠ、速筋線維はtypeⅡA線維とtypeⅡB線維に分けられます。
typeⅠ線維は持久性は優れますが、収縮速度が遅く、力発揮が弱いです。
typeⅡA線維は持久性は優れ、収縮速度が早く、力発揮がやや強いです。
typeⅡB線維は持久力には優れませんが、収縮速度が早く、力発揮が強いです。
筋萎縮はtypeⅡB線維→typeⅡA線維→typeⅠ線維の順に進行し、始まって4週間まではtypeⅠ線維の筋萎縮は少なくtypeⅡ線維の筋萎縮が著しいです。
typeⅡ優位な筋として、上腕二頭筋、腕橈骨筋、眼外筋、大胸筋、大腿直筋があり、太く短い筋という特徴があります。
typeⅠ優位な筋として、母指内転筋、大腿二頭筋、長腓骨筋、ヒラメ筋、前脛骨筋、脊柱起立筋があり、細く薄く、幅が広い筋という特徴があります。
よって、typeⅡ、特に大腿四頭筋の萎縮が起こると素早い動作を行うことが難しくなり、転倒を回避するための必要な動作を行うことも難しくなります。
筋肉はサイズの原理から、typeⅠ線維→typeⅡA線維→typeⅡB線維の順で動員されるため筋萎縮の予防として最大筋力の20%以上の負荷で参加する運動単位を増やす必要があります。
予防
運動単位を増大させない限り、トレーニングをおこなったとしても筋肥大は生じにくく、運動神経へのアプローチにすぎないので、随意運動で前頭葉運動野からの運動刺激を増大させ運動単位を増大させます。
typeⅡを動員させるためには低負荷で運動回数を増大させることが可能ですが、可能な限り負荷を高めた方が良いです。
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