こんにちは。塩出です。
今回のテーマは「内側広筋」についてです。
内側広筋とは
内側広筋は大腿部前面を覆う大腿四頭筋の一種です。
起始 | 大腿骨粗線内側唇 |
停止 | 脛骨粗面 |
神経 | L2-L4 |
作用 | 膝関節伸展 |
膝関節の伸展機能があり、膝の痛みがある変形性膝関節症、膝の手術後などでは積極的にリハビリテーションが施行される筋肉でもあります。ですが、大腿四頭筋は名の通り内側広筋(VM)、外側広筋(VL)、中間広筋(VI)大腿直筋(RF)と四種あるのにも関わらず、なぜ内側広筋が重要なのでしょうか。
内側広筋筋線維角の特異性
内側広筋の筋線維は、外側広筋の筋線維と比べて鈍角化していることが研究で分かっており、水平面に近い走行をしていると考えられ、さらに近位筋線維より遠位筋線維が鈍角化していることも分かっています。(林典雄 他 1999)
筋肉は線維方向にしか収縮しないため、このことは内側広筋においては伸展の作用だけではなく、膝蓋骨を内方に引くスタビライザーとしての役割や下腿を内旋する作用があると考えられています。
これは歩行時のラテラルスラスト(LT)の改善にも非常に大切なため、内側広筋が荷重下でいかに機能するかという点は臨床上重要になってきます。
内側広筋が萎縮してくると筋線維が鋭角化し、膝蓋骨の制動作用と下腿の内旋作用が少なくなってくると考えてられ、必然的に膝蓋骨が外旋・外方変位することにより、下腿の外旋とともに膝蓋下脂肪体に圧縮力がかかってしまうという変形性膝関節症のネガティブスパイラルに陥ると考えられます。
また、大腿骨を正中としてとらえると、大腿四頭筋は内側広筋以外は外側に位置しているため、内側広筋が萎縮すると膝関節は外反します。これにより我足部に負担がかかりやすくなり、我足炎を併発しやすくなります。
以上のことを踏まえ、内側広筋が膝関節の制動に大きく関わっていることが分かるため、膝関節の運動療法を考えるうえで、内側広筋の機能回復、廃用防止のリハビリテーションは重要です。
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