こんにちは。塩出です。体幹トレーニングやコアトレーニングなどは、近年様々な媒体で耳にするようになりました。日常生活動作を獲得していく上で、体幹機能を高めていくことは重要とされています。
そのなかでもコアスタビリティは「日常生活動作・活動全てにおいて最大の力生成と最小の関節負担のための効率的な生物力学機能」とされています。
Kiblerはコアスタビリティの役割について「予測的な姿勢制御」「関節が適応するように力の生成や制御」「全身を介した力生成のサポート」の3つを挙げています。
Panjabiは神経系サブシステム(neural subsystem)受動的サブシステム(passive subsystem)能動的サブシステム(active subsystem)の3つの要素が組み合わさることで、予測的・反射的にに脊柱が機能するとしています。
神経系サブシステム(NS)は、筋紡錘やゴルジ腱器官、脊椎靭帯系からのフィードバックに基づいて、筋出力を調整しています。腹横筋は腹腔内圧(IAP)を上昇させる働きに寄与しています。以前の投稿でも紹介しましたが、腹横筋機能によるフィードフォワードメカニズム(Hodges)があります。このメカニズムにより運動パターンの学習経験から腹横筋を収縮させることができます。多裂筋や脊柱短回旋筋群などのローカル筋は高密度筋紡錘を多く含んでおり、感覚をフィードバックするように機能しています。
受動的サブシステム(PS)は、椎間板、靭帯、関節包で運動の抵抗や張力をコントロールしています。感覚受容器を介してNSに位置情報や感覚情報を伝える役割もあります。椎間板や関節包などの組織が損傷すると、PSは機能不全を起こすことになり、運動制御障害につながります。椎間板に剪断力が加わる腰椎椎間板ヘルニアなどが起こると、椎間板が不安定になりPSは負のループに陥ります。
能動的サブシステム(AS)は筋・筋膜などにより構成され、感覚・運動ともにシステム構築に大きな役割を果たします。Akuthotaらは「コア」について「横隔膜、腹筋群。脊柱起立筋群、骨盤底筋群、殿筋群での腰椎骨盤帯機能」と定義しています。これにより体幹の剛性力をサポートする天然のコルセットのような役割を果たします。
コアスタビリティは「安定」「運動」の両方の役割に大きく関与し、協調性をもって機能しています。これらのメカニズムや筋群に正しい運動学習、固有感覚に対するファシリテーションなどを施すことで効率的に体幹機能を高めていくことができるとしています。
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