こんにちは。塩出です。
今回のテーマは「歳をとってからの運動」です。
運動や筋トレと聞くと「今からやっても遅い」「若いうちでないと筋力が付きづらい」など、私もクライアント様から、よく聞きますが、果たして本当でしょうか。
トレーナビリティとは
トレーニングや運動学習の結果、得られる効果の大きさの程度をトレーナビリティと言います。
例えばAとBの2名の被検者が同じ運動を行った結果、Aの方が大きな能力の向上が見られた場合、AはBと比較して、トレーナビリティが高いということになります。
多くの場合、トレーナビリティは一生のうちで最も高い時期があり、その時期よりも若くても、年老いてもトレーナビリティは低下することが分かっています。
これは学習や記憶力などに置き換えると分かりやすいですが、幼児期では青年期に比べて「言葉の意味の理解」などの能力はもちろん低いですし、年を重ねるにつれ、「思い出す力」や「言語の習得」などの力は衰えていきます。
では筋力トレーニング・運動においてはどうでしょう。
筋力トレーニングに対するトレーナビリティ
MacDougallやFronteraらによると、60~72歳の高齢者が12週にかけてウエイトトレーニングを行った例では、膝の最大伸展(伸ばす力)は107%増加し、筋線維は平均で29%肥大したと報告しています。
この筋線維の肥大率は、青年がトレーニングを行った値とほぼ同じだったとしています。
このことより、筋力トレーニングに関しては、高齢者であっても青壮年と同等のトレーナビリティを有していることになります。
持久力トレーニングに対するトレーナビリティ
持久力トレーニングでは、12週にわたり青年層(平均23.6歳)と高齢者(平均65.1歳)にトレーニングを行わせた結果、トレーニングによるVO2max(最大酸素摂取量:maximal oxygen consumption)の増加量は、青年で約6mL/kg/minであったのに対して、高齢者は約4ml/kg/minと、青年の方が大きくなる結果になりました。
しかし、この増加量をトレーニング前と比較した値(増加率)で評価すると、逆に高齢者の方が大きくなるという研究結果が得られました。12週の持久性トレーニング後の筋の酸素摂取速度に関しては、青年層は30%以下の増加率に留まった結果に対して、高齢者では初期値の120%近くの増加率を示しました。
したがって、持久性トレーニングにおいても、高齢者のトレーナビリティは青年と大きく変わらず、増加率に関しては青年層を凌ぎ、大きい変化を生み出すことが分かっています。この変化は末梢筋の機能の改善が大きく影響していると考えられます。
このような結果から、歳を重ねてからでも、運動による身体機能の向上は十分に見込めると言えるでしょう。
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