こんにちは。塩出です。
今回のテーマは「関節軟骨」です。軟骨という言葉はフィットネス・医療従事者のみならず、一般の方も言葉を聞いたことがあると思います。しかしながら軟骨が何かを応ることができる方は少ないと思われます。
関節軟骨
関節軟骨は構造学的には主に、タンパク質と糖が結合したプロテオグリカンとⅡ型コラーゲン、軟骨細胞によって構成されます。軟骨成分の主はプロテオグリカンで、このプロテオグリカンに含まれるコンドロイチンがスポンジの役割を果たし、滑液の浸潤性を良くすることにより、関節が滑らかに動きます。
組織学的には硝子軟骨に分類され、80%の水分、20%の軟骨基質とわずかな軟骨細胞によって構成されます。構造性タンパクのコラーゲンが形成する網目状構造の中に、水分を大量に含んだプロテオグリカンと軟骨細胞が閉じ込められており、この構造が軟骨基質固有の粘弾性を生んでいます。この粘弾性が衝撃吸収や潤滑剤の機能を果たしています。
関節軟骨の厚さは各関節で違い、生活習慣や体重の重さでも変わります。一般にヒトの股関節では寛骨臼側と大腿骨頭側を合わせて2-4mmで最も厚いとされています。
関節軟骨の機能学
関節軟骨の機能は関節運動と力の分散です。関節にかかる荷重負荷を分散して軟骨下骨に伝達することにより、骨を保護する役割もあります。関節軟骨は関節液により栄養されます。関節液が関節軟骨に浸潤するには、間欠的な荷重に伴う軟骨の圧縮と復元が必要になります。関節軟骨の変性を生まないためにも、定期的な荷重負荷が必要になります。
関節軟骨の潤滑性は人間工学的にもかなり優れており、摩擦係数は0.05程度とされており、氷上の摩擦係数が0.1とされていることを考えると人間の関節は良くできています。これを考えると、人間の寿命80-90年耐えれる関節軟骨には脱帽します。
関節軟骨では血管や神経組織がないため、小さな損傷は残存します。「軟骨がすり減って痛くなる」と、どこかで一度は聞いたことはあると思いますが、軟骨に神経や血管がないことを考えると、本当にすり減ったことによる痛みの場合、これは軟骨が摩耗に摩耗を重ね、軟骨下骨に達した、重度な変形性関節症か、すり減り自体が問題なのではなく、周囲の結合組織の問題の可能性が高いです。
関節の不動は関節の老化を早めることが考えられるため、運動不足、手術後などは適切な荷重負荷、運動療法により、関節の栄養状態を確保できるようにしたいものです。
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