こんにちは。塩出です。

今回のテーマは「歯顎と運動器疾患」です。


ヒトの歯は生後半年ごろから生え始め、永久歯になると28-32本が生えそろいます。歯の役割は「食物を咀嚼して消化しやすい状態にする」ことですが、実はもう一つ役割があり、運動器疾患にも大きく関わります。ヒトの歯は側頭下顎関節(temporomandibular joint:TMJ)とともに頭を支える重要な関節であり、「頭蓋骨を支えること」がもう一つの役割です。そのため姿勢制御に大きく関わります。


つまり歯がなければ、頭を支えることができず、頸部が前方突出した状態(forword head posture:FHP)となり胸椎後弯姿勢といった高齢者に多い姿勢へと変化していきます。またこのような姿勢になると、肩こり、腰痛などの慢性的な運動器疾患に関わってくる可能性は高くなります。近年、口腔内の衛生は心臓病の発生リスクや認知症の発症リスクとも関連していると言われ、80-20運動(ハチマルニイマル)などもその施策の一つです。

歯はヒトの発達と密接に関係しており、歯が生え始めると乳児は立ちはじめ、永久歯が生えそろう12-14歳にヒトの機能として成熟していきます。頭を支え直立するには歯が必要です。動物で直立二足歩行ができるのはヒトのみであるため、ヒトの運動機能を考えた上では歯顎は必要です。そして、歯が抜け落ちる高齢者にあると機能低下に陥ります。その為、口腔内の健康は健康寿命を延伸していくうえでも非常に重要です。


カップリングモーション

顎関節と頭頚部の動きは連動した運動として機能します。

肩甲骨と上腕の動きは肩甲上腕リズム(scapula humeral rhythm)として知られていますが、顎関節と頭頚部も(cranio-cervico-mandibular system)で同じようなカップリングで動いています。

つまり、顎関節症や、歯の欠損などで不安定な顎関節が基盤にあると、頸部疾患や肩関節疾患など隣接関節にも影響が出てくることは十分に考えられるということです。


緊張性頭痛や三叉神経痛と顎関節

また咀嚼筋である、側頭筋や咬筋などの攣縮状態があると三叉神経性の疼痛や、緊張性頭痛を発症する可能性もあるため、片頭痛患者や慢性的な肩こりなどは顎関節や歯の評価が重要になる可能性があります。

顎関節症治療では、他の関節と同様、ストレッチや運動療法が推奨されています。

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