こんにちは。塩出です。
今回のテーマは股関節・大殿筋についてです。
今、巷では空前のフィットネスブームで、多くの媒体でトレーニングに触れることができます。その中で「インナーマッスルトレーニング」というものがあります。「インナーマッスルトレーニング」という言い方そのものが正しいかは置いておいて、この「インナーマッスルトレーニング」が特に若い女性などを中心に流行っていますが、そもそもインナーマッスルとは何でしょう。
インナーマッスル・アウターマッスルと一般的には言われますが、インナーは直訳すると、~のなか。ということらしく。アウターは、おそらく、~のそと。という認識でいいと思います。
では、どこを基準に、どこからがインナーマッスル、アウターマッスルという概念があるのでしょうか、おそらく定義はなく、なんとなく使われていることが多いと思います。
ファンクショナルトレーニングやリハビリテーションでは体幹筋をグローバル筋・ローカル筋という概念でとらえたものがあります。グローバル筋は関節を大きくまたぐ筋肉で体幹の動きに関わります。一方、ローカル筋は関節と関節と繋ぎ、関節を安定させる筋肉です。
これが俗にいうインナーマッスル・アウターマッスルの機能的な本質だと私はとらえています。
体幹だと
グローバル筋 | ローカル筋 |
腹直筋・外腹斜筋・脊柱起立筋 | 腹横筋・腰部深部多裂筋・回旋筋群 |
では股関節のインナー・アウターとは何でしょう。これも先程の言葉を用いると、アウター(グローバル)は関節を大きくまたぐ出力が大きい筋肉でインナーは関節を安定させる筋肉です。
これをもとに考えると、股関節のアウターマッスル(グローバルマッスル)は大殿筋・中殿筋などが考えられ、インナーマッスル(ローカルマッスル)は深層外旋六筋(梨状筋・上双子筋・内閉鎖筋・下双子筋・大腿方形筋・外閉鎖筋)が考えられます。
よく股関節のインナートレーニングとして、シェルモーション(貝殻運動:外旋筋トレーニング)がありますが、これだけをしていても股関節の機能は改善するケースもあるかもしれませんが、インナートレーニングだけでは股関節機能の向上には限度があると思います。(シェル自体はすごくいいリハビリエクササイズです)
ここで着目するのは、大殿筋です。
大殿筋
大殿筋は股関節の後面を大きく覆う筋肉で、伸展・外旋・外転・内転と多くの機能を有すマルチポータルで、ヒトが二足歩行へ進化する過程で進化した重要な筋肉です。
チンパンジーなどでは大腿の屈筋が移動では主要な筋肉ですが、ヒトは直立二足歩行のため、けりだし移動や、重心位置のコントロールを大殿筋で担っています。ヒトであるが故に発達した特徴的な筋肉と言えるでしょう。そのため、ヒトでは大殿筋の機能が低下すると、股関節から下の機能が大きく変化し、支持性を失ったローカル筋が過度に緊張するため臀部痛や股関節障害・膝関節障害につながります。このような場合、ローカル筋への介入で良くなったとしても、グローバル筋である、大殿筋の機能を改善しない限り、また障害につながる可能性が高いです。
結論としましては、昨今SNS中心に「これだけをすれば〇〇」のようなものが散見されますが、ケースバイケースということです。ヒトの機能を考えた上では、股関節だけではなく、インナートレーニングも大切ではあるが、アウターの機能を改善することも、もちろん大切ということが言えるでしょう。
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