こんにちは、塩出です。


今回のテーマは「膝蓋下脂肪体(Infrapatellar Fat Pad:IFP)」です。

膝蓋下脂肪体は、文字通り「膝蓋骨(膝のお皿)の下にある脂肪です。この脂肪は膝関節の運動の際に潤滑剤のような役割を果たしており、膝関節が円滑に運動することにおいて重要な役割を果たしています。

変形性膝関節症の方や、前十字靭帯損傷などで膝関節の手術をされた方などは硬くなりやすい組織として知られています。


組織学的に膝蓋下脂肪体は柔軟性に富む組織で、前述したように膝関節運動の際の潤滑剤、緩衝材のような役割を果たしています。そして組織内に血管や痛覚受容器(痛みのセンサー)が豊富に存在しています。そのため膝蓋下脂肪体は痛みに敏感な組織とされています。

重度変形性膝関節症では、軟骨のへの累積負荷により軟骨が摩耗してきます。また半月板も摩耗し、多くの症例で損傷または断裂していることが知られています。しかしながら軟骨や半月板には痛覚受容器は少ないとされています。したがって、膝の前が痛むことは、膝蓋下脂肪体に何らかのストレスがかかり痛みが発生している可能性が高いです。


膝関節運動の潤滑剤である膝蓋下脂肪体の動きが悪くなると本来、柔軟性に富み変形する膝蓋下脂肪体が硬くなってしまいます。線維化した膝蓋下脂肪体では膝関節の屈伸運動の際に動きを阻害してしまいます。これは膝蓋下脂肪体が隣接組織と癒着してしまい、膝を動かすたびに常にサイドブレーキを踏んでいるような動きになってしまいます。

膝の前の痛みも正しく組織を評価し、膝蓋下脂肪体の柔軟性を回復させるリハビリテーションが必要となります。

神経学的に考えると膝蓋下脂肪体は大腿神経、脛骨神経、総腓骨神経、閉鎖神経に支配されており、多方面の影響を及ぼしやすいとされています。

したがって、膝蓋下脂肪体の柔軟性を獲得すること、膝蓋下脂肪体にかかる圧縮力をコントロールする必要があり、変形性膝関節症、術後侵襲により疼痛、AKP(膝関節前部痛)におけるキーポイントとなります。

 

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