こんにちは、塩出です。
今回は膝の痛みと変形についてです。
膝が痛くなって病院や整形外科クリニック、接骨院などを受診される方は多いと思います。


私も前職では整形外科でリハビリをしており、多くの患者様が来院されていました。
その中でも変形性膝関節症という診断を受けている方は多いと思います。 病名だけ聞くと変形で痛みが出ていると考えてしまいます、現に医師は分かりやすく説明する過程で、膝が変形してきて痛みが出ていると説明する先生方も多いです。


しかし、本当に変形と痛みはどれほど相関しているのでしょうか。
結論から言うと変形と痛みはあまり相関しないことが多いです。 良く軟骨がすり減って痛むなど通説で語られますが、膝の軟骨には痛みのセンサーはありません。 したがって痛みを拾うことはないでしょう。

さらに言うと、3日前に痛みが出てきたとして、変形は急に現れるのでしょうか。 変形は経年的変化のため、急には出現しません。

では、なぜ変形性膝関節症では痛みが出現してくるのでしょうか。

変形性膝関節症は、筋力低下、加齢、肥満などのきっかけにより膝関節の機能が低下して、膝軟骨や半月板の嚙み合わせが緩んだり変形や断裂を起こして、多くが炎症による関節液の過剰滞留があり、痛みを伴う病気である。 (wikipediaより)

膝関節の変形により、関節のスキマが狭くなってきます。 すると次第に骨が少しずつ痛みはじめ、微小骨片となり関節を浮遊します。 その後滑膜に取り込まれると、滑膜内の炎症性サイトカインが反応して滑膜炎を引き起こします。


滑膜は軟骨と違い、痛みのセンサーが多く存在しているため、炎症を起こすと痛みます。 また滑膜炎は変形初期の方が痛みを発生させやすいことが分かっています。 (東村潤ら:変形性膝関節症に対する薬物療法の実際と有用性より)


初期に膝関節の偏った運動制御を改善できるかどうかが、変形性膝関節症介入のキーポイントになります。


変形性膝関節症の特徴として膝関節内反モーメント(KAM)の増大がありますが、立位、歩行時に膝関節が伸びずに着地することにより、膝関節が外に動く(ラテラルスラスト)ことで変形を進行させてしまう要因の一つとされています。


膝関節の内反運動を制御が課題となりますが、 膝関節の内反外反を制動する大筋群は膝関節にはありません。

なので股関節周囲筋を再教育する必要があります。 変形初期、重度変形患者は健常者よりも股関節周囲筋の筋力が大いに低下しているという研究結果が発表されており、中殿筋の筋活動が高い人は経年的に変形の進行を遅らせる可能性が高いことが分かっています。


変形=痛みではなく大切なことは、局所の動きを改善させ痛みを改善し、正しい運動制御を学習することで変形を進行させないことが変形性膝関節症において重要ということです。

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