坐骨神経から続く脛骨神経は、膝窩から下腿後方コンパートメント内を通り、足根菅部で再び表層に出ます。
足根菅は後果から内果にかけて位置し、足部の骨と屈筋支帯において形成され、足根菅には後脛骨神経・後脛骨筋腱・長指屈筋・長母趾屈筋の腱鞘および動静脈ができます。
脛骨神経は足根菅を越えた後、外側足底神経・内側足底神経・踵骨神経に分枝し、足底部の知覚と全ての足部内在筋を支配します。
脛骨神経の損傷
脛骨神経は腓腹筋によって守られているため、その損傷はまれです。
脛骨神経の損傷は、脛骨骨折や深い裂傷や重度の外傷であることが多く、脛骨神経損傷の原因としては、滑膜囊腫やガングリオン・足根三角(約10%に認められる、距骨後方の副骨)による圧迫・反復する足関節の伸展、屈曲により生じる足根菅内の腱鞘炎・足関節捻挫後の繊維増殖・局所外傷や足部の過度な回内を伴うオーバーユースなどが挙げられます。
足根菅症候群はランナーや登山家に多く、足根菅での神経絞扼による症状は、荷重により憎悪する足底部の痛み・ピリピリ感・痺れや、足部内在筋の筋力低下とこれに伴う歩行の趾離期の筋力低下や、長期間にわたる障害による鉤爪趾になりやすいです。足根菅での神経絞扼は、臨床症状から疑われる症例でも、神経伝導検査(NCS)や筋電図(EMG)などの客観的検査で異常所見を示さない事が多いことから過剰に診断されやすいため注意が必要になります。
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