脳卒中においては、どの病期においても病態や生活背景に合わせたリハビリ、治療が重要になります。
一般的な病期は、急性期・回復期・生活期(維持期)に分けられ、明確な定義はありませんが、急性期は発症からおおむね2週間程度、回復期は発症2週後から6カ月まで、生活期はそれ以降を指すことが多いです。

脳卒中の機能回復は、発症早期ほど良好で時間の経過とともに緩徐になることが多いとされています。
Jørgensenらは,80%の機能回復に要する期間は4.5週間、95%の回復に必要な期間は11週間とし、重症例ほど回復に長期間かかると報告しています。(1)
このことからも、急性期から積極的にリハ治療を行うことが重要といえるでしょう。

脳は機能的に柔軟な臓器であり、脱神経などの末梢の変化により、脳の体性感覚や運動の体部位再現(マッピング)が変化することが知られており、これを「脳の可塑性」と呼んでいます。
この脳の可塑性を含むニューロサイエンスを基盤としたリハビリテーション医療を総称して「ニューロリハビリテーション」と呼んでいて、神経系の疾患のリハビリにおける基礎となっています。
脳の可塑性の法則は、Donald O. Hebbが提唱した「ヘッブの法則」であり、脳神経細胞がつくるネットワークの同じ部分に繰り返し電気信号が走ると、関連するシナプスの強度が上がり、伝達効率が増強されるというものになります。
これは2つの繋がったニューロンが同時に発火すればその間の結合が強まることを示しています。

この「ヘッブの法則」は、➀使用頻度依存性脳可塑性、➁誤りなき学習、➂課題指向型訓練という3つに派生し、促通反復療法や反復経頭蓋磁気刺激、機能的電気刺激などニューロリハビリテーションの治療法へと活かされていきます。
要するに正しい運動を繰り返し行い、麻痺肢を使った動作を日常生活に汎化させるリハビリテーション治療が「ニューロリハビリテーション」の基礎となっていきます。

参考資料
(1)Jørgensen HS, Nakayama H, Raaschou HO, et al.:Outcome and time course of recovery in stroke. PartII: Time course of recovery. The Copenhagen StrokeStudy. Arch Phys Med Rehabil 1995; 76: 406―412.

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